日本で長く暮らしてきた外国人にとって、「永住許可」は大きな目標の一つです。永住許可を取得できれば在留期限がなくなり、更新の必要もなく、安定して日本で生活を続けることができます。
しかし、永住申請は誰にでも簡単に許可されるものではありません。入管による審査は非常に厳しく、申請者の半数近くが「不許可」という結果を受け取ってしまうのも現実です。
この記事では、行政書士が永住申請でよくある不許可理由をわかりやすく解説し、許可を得るためにどのような準備が必要なのかを具体的にご紹介します。永住許可を目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
永住申請が不許可になる背景とは?

永住許可は「特別な在留資格」
永住許可は一度取得すれば在留期限がなく、日本人とほぼ同じように自由に就労できる資格です。入管は申請する外国人の在留に関する最終の審査になるため他の在留資格よりもはるかに慎重で、かつ、厳しい基準を設けています。
不許可の主な原因は2つ
在留年数や素行要件、収入要件など、法律やガイドラインに定められた基準をクリアできていないケース。
税金の滞納や虚偽申告、社会的ルール違反など「日本で安定的に生活できる人物か」に不安があると判断されるケース。
このどちらか、あるいは両方に該当する場合、不許可となります。
永住申請でよくある不許可理由5選

① 納税義務を果たしていない
永住申請で最も多い不許可理由が税金や社会保険料の未納です。
これらはすべてマイナス評価となります。入管は納税義務等の公的義務をきちんと果たしているか、期限を守り納めているかを厳しく確認します。
申請前に必ず 課税証明書・納税証明書、ねんきん定期便、国民年金保険料領収証書等を確認し、未納があればすぐに完納してください。また、「滞納歴があるけれど今は支払っている」という場合も同様ですが、納付後一定期間適切な支払い実績を積んでから申請することで許可される可能性が高まります。
② 安定した収入が確認できない
「安定した生活を営めること」も永住許可の大前提です。
このような場合、「将来的に生活保護等公共の負担になる可能性がある」と判断され、不許可となる可能性が高いです。
直近5年分(※就労資格の場合)の収入を安定させてから申請することが望ましいです。転職直後や収入が大きく下がった直後は避け、安定している時期に申請することで許可の可能性が高まります。
③ 素行不良(交通違反・軽微な犯罪を含む)
永住申請の要件には「素行が善良であること」があります。これは大きな犯罪だけでなく、交通違反や軽微なトラブルも含まれます。
こうした経歴があると「日本社会に適応できていない」とみなされ、不許可の原因になります。
違反歴等がある場合は、一定期間をおいてから申請することをおすすめします。数年にわたり問題がない生活を続けることで、「反省している」と評価される可能性があります。
④ 在留年数・在留資格要件を満たしていない
永住申請には原則として以下の要件があります。
この要件を満たしていない状態で申請しても、確実に不許可となります。
自分の在留年数や資格要件を正確に確認することが大切です。「あと1年で要件を満たす」という段階なら、焦らず準備を整えタイミングを待ってから申請しましょう。
⑤ 提出書類の不備や虚偽申告
永住申請は膨大な書類を提出する必要があります。
これらは申請そのものの信用を損なうため、不許可の大きな理由になります。特に虚偽が発覚した場合は、その後の申請にも悪影響を及ぼします。
必要書類を正確に揃え、記載内容に誤りがないかを徹底的に確認することが重要です。ご自身でのチェックに不安がある場合は、行政書士など専門家に依頼することでリスクを減らせます。
不許可を避けるためのポイントまとめ

永住申請で不許可を避けるためには、以下のポイントを意識してください。
これらを意識することで、不許可のリスクを大幅に減らすことができます。
まとめ|不許可理由を知れば永住申請は成功に近づく
永住申請は厳しい審査が行われますが、よくある不許可理由は「納税」「収入」「素行」「在留要件」「書類不備」に集約されます。つまり、これらをクリアすれば許可の可能性は大きく高まります。
「自分は申請できるのか不安」「どんな書類を揃えればいいのか分からない」という方は、永住申請を専門とする行政書士にご相談ください。経験豊富な専門家のサポートを受けることで、永住許可取得への道がぐっと近づきます。