家族滞在ビザから永住権を取得するための要件とは?【行政書士が解説】

家族滞在ビザから永住権を取得するための要件とは?【行政書士が解説】

外国人配偶者や子どもが「家族滞在ビザ」で日本に滞在しているケースは多く見られます。しかし長期的な安定を目指す場合、「永住権の取得」が大きな目標となるのではないでしょうか。本記事では、在留資格「家族滞在」から永住権を取得するための条件や必要書類、注意点を行政書士の視点からわかりやすく解説します。

家族滞在ビザと永住ビザの違いとは?

家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザとは、就労ビザなどを持つ外国人が、その扶養家族(配偶者・子)を日本に呼び寄せて一緒に生活するための在留資格です。

  • 主たる在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、経営・管理など)を持つ外国人の扶養を受けることが前提です。
  • 本人が日本で生計を立てることは想定されておらず、「扶養される立場」として滞在します。
  • 就労は原則不可ですが、資格外活動許可を得ることで週28時間以内のアルバイト等は可能です。
  • 在留期間は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)とされており、定期的な更新が必要です。
  • 扶養者(配偶者など)の収入状況・在留資格に大きく依存します。

永住ビザ(在留資格「永住者」)とは?

永住ビザは、日本での滞在に期限がなくなる在留資格です。いったん許可されれば、在留期間の更新も、在留資格変更も不要になります。また、就労制限も一切なく、転職や開業も自由です。

更に、永住者は金融機関からの信頼度が上がり、ビジネスにおける融資や住宅ローンの審査が通りやすくなります。日本で長期的に生活することが前提となるため、社会的信用が高まるというメリットもあります。

家族滞在ビザと永住ビザの違いとは?

家族滞在ビザはあくまで「扶養される立場での一時的な在留資格」であり、例えば扶養者である配偶者や親と離婚・死別した場合にはビザの変更が必要になります。このように家族滞在ビザは扶養者を前提とした在留資格であるのに対し、永住ビザは周りの状況に左右されず「日本に安定的かつ自由に暮らすことができる恒久的な在留資格」であるという点に大きな違いがあります。永住ビザを取得することで、より安定した日本での生活が可能になります。

家族滞在
  • 就労:原則不可 ※資格外活動許可週28時間以内のアルバイト等は可能
  • 在留期間:あり(法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲))
  • 期間の更新:あり 一定期間ごとに必要

扶養者の状況に大きく左右され、更新ができない場合や変更を必要とされる場合があります。

永住者
  • 就労:自由
  • 在留期間:なし
  • 期間の更新:なし(在留カードの更新のみ)

永住者の場合、離婚や死別などといった状況の変化に左右されず在留資格を維持することができます。

メリットについて詳しくはこちらをご覧ください
日本の永住権のメリットとデメリット:申請前に知っておくべきポイント
永住権(永住ビザ)は日本に在留する外国人にとって非常にメリットが大きく、ビジネスや結婚などで日本に長期在留をしている、またはする予定である多くの方がいずれは取得…
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日本の永住権のメリットとデメリット:申請前に知っておくべきポイント

家族滞在ビザから永住権を取得するための要件

家族滞在ビザで在留している方が単独で永住ビザを取得することはできません。前述した通り、家族滞在ビザはあくまでも扶養者である方の在留資格を前提としたものですので、扶養されている方が永住ビザを取得するには、扶養者である配偶者または親と一緒に申請することが必要になります。

一般的な永住許可要件

扶養者である配偶者または親は基本的には就労ビザとなりますので一般的な永住要件が該当します。

  • 素行が善良であること(犯罪歴・交通違反などが問題ないこと)
  • 独立した生計を営んでいること((基準以上の安定した収入があること)
  • その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(原則10年の在留年数を満たし、納税などの義務を果たしていること)
3つの要件について詳しくはこちらをご覧ください
日本で永住権を取得するための3つの重要要件:素行、独立、国益
出入国在留管理庁のホームページにある「永住許可に関するガイドライン」では法律上の要件として以下の3つを挙げています。 素行が善良であること 独立の生計を営むに足…
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日本で永住権を取得するための3つの重要要件:素行、独立、国益

家族滞在の配偶者、子の場合

永住申請の要件の一つに「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格または居住資格もって引き続き5年以上在留していることを要する。」とありますが、扶養者と一緒に申請することにより在留資格「永住者の配偶者等」として扱われ、配偶者や子供はこの要件が緩和されることになります。

具体的には

配偶者の場合:「実態を伴った婚姻が3年以上経過し、かつ1年以上引き続き日本に在留していること」

子供の場合:「1年以上日本に継続して在留していること」

その他家族滞在ビザの配偶者、子が注意する要件

家族一緒に申請する審査は当然に家族滞在ビザの配偶者、子の在留状況にも及びます。申請する際は配偶者および子供の以下の点についても注意が必要です。

  • 犯罪歴、交通違反、資格外活度許可で許されている範囲を超える就労など
  • 税金、年金、健康保険の納税状況および納付時期
  • 在留期間が3年または5年であること

永住申請の必要書類一覧

申請人である扶養者の書類に加え、配偶者および子供関する書類が必要になります。

  • 永住許可申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 理由書
  • 身分関係を証明する資料(戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書、認知届の記載事項証明書等)
  • 申請人を含む家族全員の住民票
  • 申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する資料
  • 直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
  • 申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
  • 申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する資料
  • 申請人のパスポート(旅券)又は在留資格証明書
  • 申請人の在留カード
  • 身元保証に関する資料
  • 我が国への貢献に係る資料(※ある場合のみ)
  • 了解書

※個人の状況により異なります。専門家による確認をおすすめします。

必要書類について詳しくはこちらをご覧ください
永住許可申請に必要な書類一覧と取得方法|完全ガイド
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永住許可申請に必要な書類一覧と取得方法|完全ガイド

参考 出入国在留管理庁ホームページ 提出書類チェックシート

行政書士に依頼するメリット

永住申請は、提出書類が多く、審査も厳しいため、少しのミスで不許可になることもあります。特に「過去に申請して不許可だった」「自分のケースが基準ギリギリかもしれない」と不安な方には、専門家のサポートを強くお勧めします。

  • 書類の不備やミスを防げる
  • 複雑な要件の確認・整理ができる
  • 不許可リスクを事前に診断できる
  • 入管とのやり取りを代行してくれる
  • 忙しい方や日本語に不安がある方でも安心
永住権を自分で申請するのはリスクがある?行政書士が解説
はじめに:永住申請、こんなふうに考えていませんか? 「書類を集めれば許可されるはず」 「ネットで見た通りに準備すれば大丈夫」 「不許可になっても、また出せばいい…
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永住権を自分で申請するのはリスクがある?行政書士が解説

まとめ

家族滞在ビザからの永住申請は単独での申請は認められず、扶養者である家族と一緒での申請となります。同時に申請することにより原則10年の居住要件が緩和される等のメリットが生じますが、一方で家族誰かしらのマイナスポイントも家族全員の審査に影響を及ぼします。

家族滞在ビザからの永住申請は正確な状況整理と慎重な準備が必要です。不安のある方、複雑なケースの方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。

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